モリッツ・グロスマン創立13周年を記念して、伝統的なエングレービングの技法を用いた新作「ベヌー・トレンブラージュ」のローズゴールドとステンレススティール2モデルが発表された。
トレンブラージュと名付けられた彫刻技術
トレンブラージュ仕上げを施す彫刻家の工房には、金属に装飾を施すための数々の工具が そろえられている。モチーフを形作りその表面に洗練された装飾模様を施すには職人の高い技術が必要とされる。
彫刻による装飾技術は、数千年前より培われてきたものだ。エングレーバーはビュランと呼ばれる工具の角を地板に押し当て、そのまま前後左右に細かく動かし続ける。この技法はその動作が表すとおり、フランス語で「震え」を意味する「トレンブラージュ加工」と呼ばれるようになった。
トレンブラージュ彫刻を施すためには、繊細で時にダイナミックな動作を絶えず相応の力加減で続ける必要がある。均一な仕上がりを得るためには、多くの忍耐と熟練した経験が要される。
ジャーマンシルバーに施される精微なハンドエングレービング
ダイアルに用いられるジャーマンシルバーは銅・ニッケル・亜鉛の合金であり、ヴィンテージウォッチに多く採用された素材だ。表面加工をしていないジャーマンシルバーは、歴史ある時計にも見られる独特の色合いを持つ。ダイアルの立体的なトレンブラージュ装飾がヒストリカルな雰囲気をさらに強めている。アラビア数字のインデックスとスモールセコンドのスケール、そして1875年にモリッツ・グロスマンが用いた「M.GROSSMANN」のロゴがくっきりとダイアルに浮かび上がる。
これらは1枚の地板をインデックスやスケールのラインに沿って彫ることで立体的に形作られており、ダイアルと一体となっている。シャープに仕上げられたエッジは際立ち、数字や文字の表面部分にはポリッシュ仕上げが施されている。その後、ダイアルには精巧なトレンブラージュ模様が彫られていく。
完成までに非常に多くの時間を要するこのダイアルは、卓越した技術を持つグラスヒュッテのエングレーバーの手で一枚一枚丁寧に仕上げられる。トレンブラージュダイアルは気品のある優美な仕上がりで、細かく隆起したダイアルが光の反射をやわらげマットな質感を生み出し、インデックスなど丁寧に磨かれた部分と見事なコントラストを成す。
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